開業したい
医院開業 成功事例 ますゆき皮フ科クリニック・安藤クリニック(福岡県)
継承開業が成功のカギ

後継者問題を抱える開業医、成功開業を求める勤務医、そしてなにより地域医療の活性化にとって、最適の方程式がここから導きだされる。

■ますゆき皮フ科クリニック 院長 益雪浩一 氏
平成14年、38歳の時に、開業について真剣に考え始めた矢先、安藤前院長が後継者を探していることを知る。それから数ヵ月後、診療圏調査や事業計画シミュレーションなどを経て、継承を決意。平成15年4月に正式に継承することを安藤前院長へ伝える。
継承を決意して11ヵ月後、平成16年3月10日ますゆき皮フ科クリニックを開業。現在は、当初の事業計画を大きく上回るほど盛業しており、経営も順調である。

■安藤クリニック 前院長 安藤征一郎 氏
後継者のいなかった安藤前院長は、平成10年の還暦を迎えた頃、クリニックを第三者に継承することを決意。平成15年12月下旬に改装工事のため安藤クリニックを閉院。
現在は、北九州市内の病院に勤務中。


■開業までの当社の支援内容

ますゆき皮フ科 益雪院長 インタビュー


−−: 開業して1年経ちますが、現状はいかがですか?
益雪: おかげさまで非常に順調です。開業前にやりたいと思っていた医療が、現在のところほぼ思い通りできています。外来患者数も当初の事業計画を大きく上回り、安定しています。


−−: 開業しようと真剣に考え始めたのはいつ頃ですか?
益雪: 現在、41歳になったばかりですが、考え始めたのは38歳の頃です。大学の医局人事の関係で転勤した先の病院では、皮膚科の症例がそれほど多くなく、自分自身で物足りなさを感じ始め、真剣に開業を考え始めました。


−−: 具体的に開業をしようと決めたきっかけは何ですか?
益雪: たまたま、前職場へ手術応援に行った際にお会いした先輩から、継承者を探している開業医の先生がいるというお話を聞きました。その先生との面識はありませんでしたが、クリニックの所在地は知っており、立地場所がとても良いので非常に興味を持ちました。それからすぐに前院長である安藤先生を紹介していただきました。


−−: 実際、安藤前院長と面談していかがでしたか?
益雪: 第一印象は、とてもおおらかできさくな先生だなと思いました。
ただ、実際に院内を見ていませんでしたし、駐車場が少ない点などが気になり、即答はしませんでした。継承を決断するまでに半年くらいの時間があったと思います。そんな時に総合メディカルのDtoDを知り、営業担当の方に相談をしました。そして、診療圏調査などの周辺環境の調査や、事業計画シミュレーションなどをしていただき、前向きに進めて行きました。


−−: この物件に決定した一番の決め手は何ですか?
益雪: やはり継承物件であった点が一番です。ゼロからスタートすることと当初から基盤があるのでは全く違いますし、その地域において他の医療機関との軋轢もなく、メリットが多いと感じました。当然、開業に係るコストも各段に違います。
また、立地が良いと思いました。場所は、モノレール沿線で目立つ上に、周辺は住宅地。院内は少し手狭だなと思っていたのですが、同じ時期にビルの家主が変わり、(交渉先が2回ほど変わりました)ちょうど同じフロアである隣の会議室が空いたので、まとめてワンフロア借りてくれないかとの依頼があり、受けることにしました。家賃も割安に抑えられる等のメリットもあり、交渉はスムーズにいきました。このような交渉事はすべて総合メディカルにお任せしたので、私は、自身のライフプランを立てるなどでき、非常に楽でした。


−−: オープンまでの準備期間中に苦労したこと、またスムーズにいったことを教えてください。
益雪: 今振り返ってみてもほとんど苦労はなかったと思います。スタッフも新しいメンバーにしましたが、1年経った現在もほぼ変わりません。
資金面についても、継承開業ということでスムーズにいきました。総合メディカルが地銀と提携して行っている「継承開業支援ローン」を活用させていただきました。


−−: 継承の良いところは何でしょうか?
益雪: 何より周辺の医療機関との軋轢が全くなかったことです。また、非常にありがたかったのは、安藤前院長が専門医会などで、私が継承することをご報告してくださったり、かかりつけの患者さんへ、来院時に継承の案内文書を直接渡していただいていたことです。
私自身、安藤前院長が永年診られてきた地域の患者さんをしっかり引き継がなければならないという使命感がこみ上げてきました。


−−: オープン前日はどんなお気持ちでしたか?
益雪: いくら患者さんがついているとはいえ、自分のところに来てくれるかどうかは、正直不安でした。また、改装と開院準備のためオープン前の2ヶ月間、閉めていたことも不安材料のひとつでした。しかし、開院準備中にいつから開業するのかを聞きに来られる患者さんがとても多かったので、安心材料になりましたし、手応えも感じていました。


−−: 前勤務先には、いつまで勤務されていたのですか?
益雪: 開設届を提出する直前まで勤務していました。院内のレイアウトを全部変えましたので、打ち合わせは頻繁に行いましたが、児玉さん(弊社担当者)が、スケジュール通りに進めてくれたり、総合メディカルの各専門の方(不動産、設計等)が交渉事は確実にしてくださったりと、思ったより楽でした。


−−: 開業当日はいかがでしたか?
益雪: 73人の患者さんが来院され、ほとんどが安藤前院長のかかりつけの患者さんでした。
とにかくばたばたしましたね。当たり前の話ですが、すべての患者さんが新患になるためカルテを新しく作らなければならず、患者さんにもかなり待っていただくことになり、ご迷惑をかけました。当日は休む時間も全くありませんでしたが、勤務医時代にはない充実感がありました。


−−: 周辺医療機関、地域、医師会の反応はいかがでしたか?
益雪: 皮膚科があったところに皮膚科ができたので、軋轢や規制は全くありませんでした。


−−: スタッフの確保と育成に関して教えてください。
益雪: 事務については、当初、常勤とパートの二人でしたが、すぐにパートの方にも常勤できていただくようになりました。看護師については、常勤1名、パート1名からのスタートで、途中でパート1名を増員しました。
事前に接遇研修を2回程実施し、模擬診療も1度しましたが、特に何かをしたという訳ではありません。


−−: 開業して1年になりますが、現状の課題と今後の展望を教えてください。
益雪: 患者さんから感謝の言葉をいただくことがとてもやりがいになっています。地域の方々に慣れ親しんでいただいて、何か皮膚のトラブルがあった際に来てもらえるような雰囲気作りと診療を行う。医療はサービス業だと考えていますので、雑談を交えながら家庭的な雰囲気作りを心掛けています。
現在はケミカルピーリングなどのような自由診療も取り入れていますが、今後も保険診療を中心に地域の方々に親しんでいただけるクリニックにしていきたいですね。
経営面では医療法人化を考えています。


−−: 開業は経営リスクもあると思いますが、開業して良かったなと思うことを教えてください。
益雪: 勤務医時代の急性期の総合病院では、皮膚科は病院の売上に大きく貢献できるような科目ではなく、また受診される患者さんも他科受診のついでに受診される方や、他科での治療中に生じた薬疹や褥瘡の治療が中心で、縁の下の力持ち的存在でした。しかし、開業すれば皮膚疾患を治すという目的のために当院に来てくださいます。ささいな疾患でも治れば喜んでくださる。勤務医時代よりやりがいは数倍ありますし、がんばった分だけ経営もうまくいく。自分のやりたかったことができ、やった分が跳ね返ってくる点が一番良かった点です。また、勤務医時代に比べて時間も自分の思い通りに立てられます。
地域には、人と人との付き合いができる医師が必要だし、自分もそうなりたいと強く思っています。


−−: 最後に今後開業を目指す先生へメッセージをお願いします。
益雪: 開業は失敗できません。ですから、私はまず信頼のできる先輩の先生にいろいろと相談しました。やはり心強かったです。開業していて身近に相談できる先輩がいるのといないのとでは全く違うと思います。



安藤クリニック 安藤前院長 インタビュー

−−: 継承を決めたきっかけをお聞かせください?
安藤: 私が、開業したのは、20年前の45歳の時でした。私には跡取りがいないので、還暦を迎えた頃に、スタッフに、「65歳でやめるから後の就職先を考えておいてください」と告げていました。
後継者を探すことについて、少し悩みましたが、ビル開業は自分のものにはならないのに、高齢になってから設備投資することは意味も無いし、年齢を考えるとリスクも大きいなと考えました。


−−: 益雪先生との出会いについて教えてください。
安藤: まじめそうな先生なので、うまくいくだろうという印象が強かったですね。
私の専門は泌尿器科でしたが、皮膚科も標榜していました。この地域は皮膚科の先生を求めているので、泌尿器科の先生がくるより、皮膚科の先生がきたほうが間違いなくうまくいくと思っていました。


−−: 総合メディカルがお役にたったことを教えてください。
安藤: よく最後まで徹底してやってくれたと思います。いい加減で信用できない業者もあるという話を聞いていたが、総合メディカルの担当の方が誠意を持ってあたってくださったので安心して引き継げました。益雪先生は、よい会社を選んだなと思いました。


−−: 継承をしてみて何か感じる事はありましたか?
安藤: 地域の方々のことを考えると、完全に閉院することはできないと思っていたので、良い決断をしたと思っています。実際50歳くらいまでは「設備投資しませんか」という、融資の勧誘も来ていましたが、60歳を超えると全くこなくなった。若いうちなら投資できますが、年齢を重ねてくると、そういった決断もできなくなる。であれば、元気なうちに継承して、若い先生に引き継ぐことが本当の地域貢献にもなると思いました。


−−: 継承時の患者さんの反応はどうでしたか?
安藤: 患者さんの反応は、すごくよかったです。もともといらっしゃっていた患者さんは、ここに皮膚科がないと困る。お年よりは遠いところにはいけなかったりしますし、安心した様子でしたね。


−−: 20年やられてきてなにか感じることはありますか?
安藤: 今は勤務医として働いていますが、収入は正直減りました。あのまま働きつづけていても収入は確保できたと思います。ただ、私は養老年金を長年掛けてきたので生活は開業時と変わりません。以前、知り合いの産婦人科で開業していたドクターが還暦で辞めて、どこかの療養型の病院に勤務医として戻られたという話を聞き、その時に自分もそうしようと決めていました。


−−: 決断したきっかけは?
安藤: このまま開業していて何かの理由で閉院することにでもなったら、患者さんが困る。
ある時に、自分が辞めると患者さんに言ったら、すごく反対されました。しかし、「若くてばりばりやってきた先生が後を継ぐのだから、問題ないでしょう」と患者さんに言うと、すごく喜んでくれました。この時に決断しましたね。


−−: 何か変わりましたか?
安藤: 開業していたときも現在も特に変わりません。
ただ、開業医の時は収入が減ることを覚悟に、長期旅行の時間を自由に持てたが、今はなかなかできません。趣味である旅行に行きたいなとも思いますが、少ない医師数で病院として採算をとっている以上、他の先生に迷惑がかかるのでできない点ぐらいです。


−−: 現在、開業されている先生にメッセージはありますか?
安藤: 今、同じ職場に、お嬢様の旦那様に診療所を譲って、勤務医に戻られている先生がいます。心置きなく辞められたと言っていました。辞めたくても、辞められない先生が多いと聞きますが、それはその医師の決断次第だと思います。



当社担当者のコメント

■総合メディカル株式会社 北九州支店 児玉尚史
今回の継承事例は、まず先生同士の出会いがあり、縁あって当社がそのサポートを行うことになりました。
譲られる側の安藤先生は、とても温かいお人柄です。継承にあたり、さまざまな面でご協力をいただいたおかげで、すべての計画がスムーズに進みました。
当社には、「不動産」、「保険」、「設計・施工」など、開業までに必要な各分野の専門家がおりますので、私は全体のコーディネート役として、ひとつひとつの課題を確実に解決していくことを心がけました。
開業前は、益雪先生と同じく、多少の不安もありましたが、当初立てた事業計画を上回る、順調な立ち上がりでした。地域の方々が、この地域に皮膚科の診療所が継続され、とても誠実な安藤先生の後任として、若くて親しみやすく、皮膚科を専門としている益雪先生が引き継がれたことを本当に喜ばれていることを実感しました。

設計担当者からのコメント

■株式会社ソム・テック 梶原孝子
私どもソム・テックは、総合メディカルのグループ会社として、医療施設の企画・設計・施工を行っています。総合メディカルの開業支援の中で、「設計・施工」の部分を担当しています。開業予定場所が2階という点で、車いす、お年寄りの患者様の来院に、多少の不安はありましたが、設計を進めていくうちに、益雪先生のお人柄から、その不安は払拭できると確信しました。その予想通り、開院以来たくさんの患者様が来院していると伺っています。
クリニックでは、ピーリング治療も導入するということで設計・内装は、女性の患者様を意識して、濃い木目を基調に上品にまとめました。
この度の開業支援で、益雪先生の開業に少しでも携わることができ、心より嬉しく思います。