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経営者インタビュー 医療法人白十字会(福岡県)
慢性期医療・予防医学に興味のある先生必見

前回に引き続き、「高齢者医を創出」する白十字会の試みについて、富永雅也理事長に語っていただいた。 第1回の記事はこちら

■医療法人白十字会 理事長 富永雅也 氏
略 歴 昭和55年 日本医科大学卒
昭和56年 九州大学医学部第二内科入局
昭和60年 松山赤十字病院胃腸センター勤務
平成 4年 九州大学医学部第二内科助手
平成 5年 医療法人白十字会白十字病院勤務
平成11年 理事長就任 現在に至る
認 定 日本消化器内視鏡学会指導医
日本消化器病学会認定医
日本内科学会認定医
日本大腸肛門学会専門医
日本医師会認定産業医
医療法人白十字会
白十字病院
(福岡市西区)
あなたのスキルは何年もちますか?
−−: 医師のスキルアップについてどのようにお考えですか?
富永: 医療技術は驚異的なスピードで進化しているのに対し、現場の医師のスキルアップが追いついていない、むしろどんどん遅れているのが問題だと思います。
私がある地域の基幹的な公的病院に勤めていた時の話ですが、消化器内科の私には、その病院の外科部長の方々には患者さんを送れませんでした。なぜなら、期待する最新の手術術式ではなく、QOLの低い旧式の術式しかご存知なかったからです。皆さん50歳代の前半なのに、肩書きとは裏腹に、陽の当たるお仕事はされていませんでした。聞けば、一昔前は威勢のいい立派な先生方であったとのこと。
−−: 何が原因でそうなったのでしょうか?
富永: ひとつの技術で一生食べていける時代ではなくなったからだと思います。前述の先生方を例に挙げると、40歳代のうちにスキルアップの手を打っていれば、陽の当たる50歳代、60歳代を過ごせたのではと考えます。責任は病院とご本人の両方にあると思います。
−−: 日々のスキルアップが重要ということですね。
富永: 現代社会研究所所長の古田隆彦先生によれば、現在65歳以上を高齢者と呼んでいるのは、1960年代に国連勧告を受けてのことです。当時の平均年齢は70歳、現在は80歳をはるかに超えていますので、75歳以上を高齢者と呼ぶべきであると提唱されています。
そうすると、現役として働く期間は50年にも及びます。その50年を乗り切るために複線型の教育、つまり一定期間新たなスキルを身につける能力貯蓄の機会が必要になるとのことです。医師も同様だと思います。私自身の経験からも、大学で10数年勉強して積み上げてきたスキルは、本当の意味では10数年しか役 に立ちません。
−−: ではどこでスキルを身につければよいのでしょうか?
富永: 本来は出身医局が行なうべきと考えますが、制度化されない限り、急性期医療ではなかなか難しいと思います。勤務医は業務に忙殺されていますし、大学もそこまでの余力はないと思われます。生涯教育の自己学習では、なかなかついていけないのではないでしょうか。
−−: ついていけないと感じたら、思い切って転職という選択肢もあるということですか?
富永: 私の場合、経営者に転職しましたが、長い人生を悔いなく生き抜くために、転職は決して恥ずかしいことではないと思います。ただ、その時期が問題です。大きく進路を変更するなら、40歳代までに決断すべきです。
スローライフを志向される先生に
−−: 予防医学の重要性についてお聞かせいただけますか?
富永: 今までのいわゆる"検診"は、「結果を送付しておしまい」でした。毎年検診されるのに、血糖値が高いまま放置されている方もいらっしゃいました。
そこで、私どもの健康増進センターでは、異常値から考えられる病態の説明と受診の勧め、そして希望があればその予約までを業務として、"臓器を壊さない予防医学"が脚光を浴びる日が来ると信じ頑張っています。発病を抑えることで、患者さんを長期の病の苦しみから解放するだけでなく、コストを抑えられることが評価されないわけはありません。
−−: やはり、予防医学の専門医また療養病床の専門医は、脚光を浴びそうですね。
富永: すでに一般病床から療養病床へなだれを打って転換が始まりました。そして、日本版RUGの開発で、増悪予防そして改善のためのスキルを持った専門医が、すぐに求められるようになるでしょう。パイは大きくはないのですが、多くの患者さんに感謝されるとても重要な仕事だと思います。
新しい分野なので、医師としての経験が問われるわけではなく、やればやるだけ評価される、常に上昇志向でいられる、なのにまだまだ未開拓な分野であると思っています。大いに活躍の場が望める希少な分野ではないでしょうか。
−−: 両者ともにスローライフがお好きな先生に向いているようですね。
富永: アフター5、特に家族との時間を大切にされたい先生には最適だと思います。現場で、その時身体を酷使しなくても、多くの場合、患者さんは待っていてくれます。よりよい答えを自分のペースで導き出すことができます。
急性期のベッドサイドで命を削って患者さんに尽くしていらっしゃる先生は貴重な社会の財産だと考えますが、同時にスローライフな生き方を志向される先生方を、もっと活かせるシステムづくりも大切なことだと考えています。
熱心な先生には国内留学も
−−: 白十字会では医師の研修はどのようにされるのですか?
富永: 最近増えてきた老年医学講座や予防医学講座などの講演会で学習していただくことを基本にしていますが、やはり日本でも一流とされる病院を見て、刺激を受けることが一番だと考えています。患者さんと自分のためにスキルアップしたいとお考えの熱心な先生には、そのような病院にお願いして国内留学していただくことが早道ではないでしょうか。
−−: 実際に国内留学する先生はいらっしゃいますか?
富永: 現在、白十字病院、燿光病院に、前脳外科の先生が、回復期リハビリテーションのリハDrとして勤務しています。ともに40歳代前半であり、うち1人は、近く日本有数のリハビリテーション病院へ国内留学を奨める予定です。また、平成17年4月、2人の40歳代の先生が就勤予定であり、嚥下リハの第一線へ派遣し、研修してもらう予定です。
−−: ありがとうございました。

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