開業したい
医院開業 成功事例 みい眼科(山口県)
第三者継承開発 〜成功のシナリオ〜


■成功のポイント
A: 自分の医療ビジョンを明確にすることを先決として、それを固めながら、
第三者継承を選択し、資金調達に奔走した。
[1]事業計画に信憑性があり、金融機関より融資がスムーズに進んだ。
[2]開院を望む前院長のかかりつけの患者さんを引き継ぐことができた。
B: ビジョンを形にするため、環境準備に徹底的に時間を費やし、考えた。
[1]2Fを手術室にする。
[2]エレベータを設置する。
[3]リカバリールームを広くする。
[4]患者さん、スタッフの導線。
[5]診察室と待合室の快適かつ効率的なレイアウト など

1F平面図

2F平面図

待合室

リカバリールーム

手術室

エレベーター
■プロセス

平成15年4月、金融機関より当該継承物件(山口県岩国市)の紹介を受ける。前院長が他界し、閉院してすでに1年3ヶ月ほどが経過していた。院長夫人は、当該継承物件を医療機関として再開することを切に願っており、また同じ眼科でしかも手術ができる医師に譲りたいと継承者を探していた。一方、時期を同じくして医療関係者より、当時山口県宇部市で勤務されていた三井清次郎氏の紹介を受ける。宇部市から120Kmほどの岩国市で開業を検討中であるとの話を受け、当該継承物件を紹介。平成15年6月に契約。9ヵ月後の平成16年3月にみい眼科を開業。現在に至る。
■みい眼科 院長 三井清次郎 氏
みい眼科
(山口県岩国市) 
 
 
略 歴  
昭和62年 山口大学医学部卒業
同校医学部付属病院眼科入局
平成4年 医学博士の学位取得
平成5年 眼科専門医の資格取得
平成8年 宇部興産中央病院勤務
平成10年 同病院眼科医長
平成12年 同病院眼科部長
平成16年 みい眼科開業
開業のきっかけ
−−: 開業しようと真剣に考え始めたのはいつ頃ですか?
三井: 開業する1年くらい前です。
−−: 開業を決めたきっかけをお聞かせください。
三井: 眼科診療を自分が十分納得できるような形で行うには、総合病院の眼科では限界があると感じるようになったからです。
−−: 具体的にはどういうことですか?
三井: 眼科は検査機器が多く、それも眼科独自のものがほとんどです。手術も局所麻酔で顕微鏡を使うものがほとんどです。これらを円滑に行うためには、スタッフの専門性とマンパワーが必要ですが、総合病院では人事異動や人員配置などの都合で、十分なことができませんでした。また、患者様に対してのさまざまなサービスも納得がいくものは提供できませんでした。
−−: 勤務医をしていると、患者様にこうしてあげたいと思っていても、それを実現するのが難しいということですね。
三井: そうです。開業していれば費用の問題はありますが、患者様に提供できる医療サービスの環境全体を考え実現できます。私は、約8年間勤務している間に、病院側にさまざまな提案をしてきました。実現できなかったことが多くありましたが、そのことがそのまま開業のビジョンとなり大きな糧となっています。
−−: 開業にあたって、これだけは実現したかった、というものはありますか?
三井: 自分の中で、開業に対するはっきりとしたビジョンがありましたので、それらを自分の納得のいく形にするということでした。
まず手術をすること。他の科と違って眼科は、総合病院のような大きな病院でなく小さな診療所でも、十分な手術ができますから。
また、スタッフはなるべく常勤であること。私の考え方や患者様に対する思いをスタッフに十分理解してもらい、ひとつにまとまって医療を行なうにはどうしたらよいかと考えた時に、なるべく常勤であることが大切だと思いました。そのほうが絶対的に早く軌道にのると考えたからです。現在、毎日朝会を行い、スタッフ一人ひとりとは月1回の面談をして、思いを共有するように努めています。
そして、待ち時間をいかに快適に過ごしてもらえるか、術後にいかにリラックスしてもらえるかなどの、患者様へのサービスに関しても、自分が納得できるものを実現したいと考えていました。
※ 開業成功のポイント【1】→勤務医時代に何を考えて勤務するか
物件との出会い
−−: 開業地はどのようにして選定されたのですか?
三井: 私の出身地である山口市か、妻の出身地である岩国市で探していました。
−−: 最初に物件を見た時の印象はいかがでしたか?
三井: 見た瞬間に「ここだ!」と思い、決めました。最初にこの物件を見た時のインスピレーションは、今でもはっきりと憶えています。
この物件は、もともと眼科だったので、「前院長がどのようなスタイルの診療をされていたのか」「以前はどのくらいの患者様が来ていたのか」などの状況は、物件を見る前に聞いていました。
松永: 裏事情を話せば、1週間前に物件の登録をいただいたばかりで、院長夫人には、「すぐに継承者が見つかる可能性もありますが、登録をいただいていても1年どころか10年かかっても継承者を見つけることができないかもしれません」とお話していたところでした。
三井: タイミングが非常によかったと思います。物件の契約についても、総合メディカルの専門家の方が間に入って交渉をしてくださったので、とてもスムーズでした。状況報告を随時受けていましたし、こちらの要望もきちんと伝えていただいていましたので安心でした。
−−: 物件所有者である院長夫人と会った時の印象はいかがでしたか?
三井: スムーズに開業が進むように、さまざまな面で積極的に協力していただきました。
松永: 院長夫人は、この診療所を医療機関として再開することを切に願っていて、しかも同じ眼科で、手術ができる医師に譲りたいという希望がもともとあったので、大変感謝していただきました。診療を行っている三井先生を見て、「昔の主人を見ているようです」とおっしゃったことが、とても印象的でした。
※ 成功のポイント【2】→どういう医療を実現したいかという明確なビジョンと理念を持つ
開業までの準備期間からオープンまで
−−: 物件を決めてからオープンまでの準備期間中に、苦労したことはありますか?
三井: 診療をしながら開業の準備を進めていたので、睡眠時間が減りました。打ち合わせの時間の大半は、いかに自分の納得のいく医療ができる環境を整えるかということに費やしました。
例えば、2階に手術室がありますので「エレベーターを必ず設置する」ことや、その他「リカバリールームの広さ」「必要な医療機器」「動線」「診察室と待合室のレイアウト」などに対して明確なビジョンがありましたので、これらをリフォームの中で実現するのに苦労しました。
結局、現在の形に決まるまで約半年かかりましたが、これまで考えていた自分の医療スタイルを形にする過程には、じっくり時間をかけることがとても大切だと思っています。
−−: オープン前日はどんなお気持ちでしたか?
三井: 新規開業の場合、患者様があまり来られないのではないかなどの心配があると思いますが、そのような不安は少なかったです。そこが継承開業のよいところだと思います。
前院長が診療をされていた時から、多くの患者様が来られていました。つまり、ここに眼科がまた開院することを希望している患者様がたくさんいらっしゃる、と感じていました。継承開業というスタイルにより、患者様という大きな財産を受け継ぐことができました。
−−: 開業当日はいかがでしたか?
三井: 初日はバタバタしていました。とにかく確実に診療を行うことで精一杯でした。
 
−−: 患者様の内訳を教えてください。
三井: 前院長にかかっていらっしゃった患者様がほとんどだったと思います。患者様に聞くと、またここに眼科が再開するのを心待ちにしていた、という方がとても多かったです。
 
−−: 周辺の医療機関の反応はいかがでしたか?
三井: もともとここは、同じスタイルの眼科があったところですから、ほとんど周囲との軋轢はなかったと思います。それも、新規参入とは違う継承開業のよいところだと思います。

   
※ 成功のポイント【3】→医療環境に妥協しない・決めたことを即実行に移す
今後の展望と開業を希望するドクターへのメッセージ
−−: 開業して半年ですが、経営者としてどのようなお考えをお持ちですか?
三井: 現状に満足しないで、常に改善していこうという気持ちを持ち続けることが必要だと考えています。そうすることが、患者様の満足度につながり、結果的に経営によい影響を与えると思います。
−−: 最後に勤務医の先生方へメッセージをお願いします。
三井: 勤務医の時に、開業医としてのシミュレーションをしておいたほうがよいと思います。
 
−−: それはどういった面のですか?
 
三井: 勤務医と開業医では全く状況が違いますので、勤務医をしている間に自分が開業医になってもやっていけるシミュレーションをしておくことが大切だと思います。
私自身は、どういう対応をしたら患者様が満足するかということを常に考えていました。ひとつひとつ工夫し改良して試してみると、患者様は敏感に反応してくれます。こういった積み重ねを勤務医の時にやっておくことです。開業してからでは遅いのではないかと思います。
−−: 何よりも三井先生の、患者様一人ひとりの立場に立った診療の実践と、現状に満足せずに日々改良を繰り返すという前向きな姿勢が、この継承開業を成功に導いたのだと思います。ありがとうございました。
※ 成功のポイント【4】→現状に満足せず、常に改良を繰り返していこうという気持ちを持ち続けること